税理士・公認会計士OISC飯塚税務会計事務所

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借地権、地代(借地料)相場

 

地代に相場はありますが、その算出方法はまちまちです。

 

 

土地は同じ地域にあっても、面している道路や周囲の細かな環境により価値が大きく違ってきます。借地料の相場を把握するのも単純にはいきませんが、通常の地代を計算する際、以下一般的に利用されているものを以下にあげていきます。

 

なお、新規で借地権を設定する際には、税務的には、地主に支払う「権利金(保証金)と相当の地代」という考え方があり、権利金と相当の地代のバランスが取れていないと、借地権者に対し譲渡税(法人の場合は認定課税)が課せられることが在ります。

www.nta.go.jp

 

土地の租税公課を元にして計算する(公租公課倍率法)

 

租税公課というのは、国や自治体に支払う税金のことを指します。土地の租税公課は主に固定資産税と都市計画税です。

 

借地料を決める際の目安としては、固定資産税と都市計画税を基準にすることが多いです。年額で見て、固定資産税と都市計画税を合わせた金額に対し、首都圏の場合、地代(借地料)は一般的に以下のようなものです。

 

    住宅地の場合で、3倍〜5倍程度

    商業地の場合で、5倍〜8倍程度

 

建物が建っている土地は評価額から軽減されるため、更地と比べ、固定資産税が安くなり、特に居住用建物の建っている土地は、評価額の6分の1が課税標準額となります。

もし、現時点で更地の場合には人に貸して建物が建つことで、固定資産税が安くなるメリットもあります。

 

期待利回りで借地料の相場を計算する(積算法・利回り法)

 

自分の土地を他人に貸す目的は土地から収益を得ることでしょう。

どの程度の収益を得たいか、ある程度決めてから借地料の金額を設定したい場合に積算法というやり方がよく用いられます。

 

積算法とは、土地から得られる期待利回りから借地料の金額を計算する方法です。期待利回りというのは、投資した金額に対して期待する年間の利益率を指します。銀行預金で言う利息のようなものだと捉えておくといいでしょう。

 

期待利回りをいくらにするかというところから考える場合もありますが、借地料の場合には2パーセント程度にするのが一般的です。

 

そして、毎年継続してかかる費用も考慮して計算します。土地だけであれば、毎年継続してかかる費用は固定資産税や都市計画税だけです。土地から得られる利益に、固定資産税や都市計画税を足した金額が年間地代というわけです。

 

計算式にすると以下の通りです。

 

「土地の価格」×「期待利益率」 +「費用(固定資産税と都市計画税)」

 

土地の価格が3000万円で期待利回りが2パーセント、固定資産税と都市計画税を合わせた金額が20万円なら、借地料の相場は80万円ということになります。

借地料の算出にはよく合っている方法

 

積算法はアパート経営やマンション経営などの不動産投資においてよく利用される賃料の算出方法です。

 

得られる利益をあらかじめ決めた上で、それに合わせる形で賃料の金額を設定するため利益計画を立てやすくなります。借地権が発生し、何十年にもわたって土地を貸し続ける場合によく合っている借地料の決め方と言えるでしょう。

 

土地の借り手がなかなか見つからず、相場よりも安い借地料で貸したい場合にも積算法を用いて計算すると便利です。

 

周辺の賃貸事例により計算する(賃貸事例比較法)

 

上で紹介している借地料の相場の計算方法は、いずれも自分が貸そうとしている土地のみのデータを用いる方法です。周囲の土地については特に考慮していません。

しかし、実際には借地料の相場を考えるにあたって、周囲の土地について考慮することはかなり重要になるでしょう。

 

土地を借りる人も、近くの土地と比較しながら借りる土地を決めます。そこで、賃貸事例比較法による相場も把握しておくといいでしょう。

 

賃貸事例比較法は、周辺地域で利用されている土地の借地料と比べてみる方法です。

固定資産税や更地価格などを基準にして借地料を決めると、周辺の借地と比べて借地料に大きく差が出てしまう場合もあります。

適正な借地料を見極めるには、固定資産税や更地価格などを基準にした方法と併せて、実情を見てみることが必要不可欠です。

そして、なるべく周辺地域で似ている借地を比較対象にしてみましょう。条件が違いすぎると、相場にも差が出てくるためあまり参考にはできません。

 

土地の面積や形、道路への面し方、利便性などを考慮して似ている土地だけを比較対象にします。なるべく多くの土地を比較対象にすることで、借地料の相場を把握しやすくなるでしょう。

 

賃貸事例比較法のデメリットは、人口の少ない地域では使えないという点です。

賃貸事例比較法では、たくさんの物件を比較するからこそ相場が見えてきます。

しかし、人口の少ない地域では、借地として利用されている土地はあまり多くありません。1件や2件の事例と比較してみても、相場は分からないでしょう。

また、都市部で借地として利用されている土地の実例が多い地域でも、地主と借地権者との関係や、土地の利用の仕方で個々の賃貸借事情は違い、事例のデータを集めるのにはかなり苦労してしまいます。

 

都市部の住宅街でも、土地だけ借りて家が持ち家というパターンはそう多くありません。

一方で、借家で土地と家の両方を借りているというパターンはよく見られるでしょう。

その土地と家の両方を借りているパターンの賃料を参考にして相場を把握する方法もあります。それにはまず、批准地代を計算しなければなりません。

 

批准地代というのは土地と建物を合わせた賃料から、建物の分を差し引いたものです。

しかし、批准地代を算出しても、土地の使い方によってはあまり参考になりません。貸そうとしている土地と似たような土地で、借家を貸しているところが近くにあれば参考にしてみましょう。

 

事業用収益から借地料を計算する(収益分析法)

 

借主が借りた土地の上に住居を建てるのではなく、店舗や工場などを建てる場合によく使われる方法です。

土地の上に建っている店舗や工場などから得られる売上や純利益を調べ、そのうちで土地の貢献度はどのくらいなのか算定します。

そして、借主が土地の上で営んでいる事業において、土地の貢献度がどのくらいなのか算定した上、合わせて借地料を算定する方法です。そうすることで、利益を多く生み出す土地からは、借地料も多く得ることができます。

 

逆にあまり利益を生み出せない土地であれば、借地料も低めに設定できるという具合です。借主の支払能力にも合わせた借地料の設定が可能になるでしょう。

 

収益分析法は、土地の利用の対価として借地料を決める際に優れた方法です。

しかし、売上や純利益を調査し、土地の貢献度を算定するのは一般の人にとっては簡単ではありません。そのため、専門家に依頼して行うことが多いです。

 

また、あくまで土地の上で事業を行う場合に使われる方法であるため、住居として使用する家を建てる場合には使えません。

 

更地価格を元に借地料を決めるケースもよく見られます。

更地価格を知るには路線価を調べる必要があります。

 

路線価というのは、土地に面している道路などを基準にして決められている数字です。更地価格の基準に用いられる数字で国税庁が発表しています。

土地にかかる相続税贈与税などの税額を決定する際にも用いられる数字です。

 

基本的に大きな道路に面している土地や道路の数が多い土地は、路線価が高くなると覚えておきましょう。この路線価を0.8で割った数値となります。

 

また、路線価の数字は国税庁のホームページで確認可能です。そして、路線価を基準にして算出した更地価格に対して、住宅地で1%程度、商業地で1.5%程度が、地代の年額になります。

 

更地価格を目安にして計算する場合は路線価という国の機関が発表しているデータを用いるため、信頼性が高いと言えます。

また、価格の高い土地には高い借地料を設定し、安い土地には相応に安い借地料を設定できるやり方とも言えるでしょう。

 

ただし、更地価格を基準にして計算した金額を借地料の目安にする方法は、どのようなシーンでも使えるわけではありません。一般の住宅街でよく見られるような、正方形か長方形の形状をしていて1本か2本の道路に面している土地なら更地価格を目安にしやすいでしょう。

 

しかし、土地の形状はさまざまで複雑に入り組んだ形をしている土地もあります。道路への面し方も一様ではありません。

そのため、更地が実際に取引される場合の価格が路線価を基準にして算出した価格と異なる場合も多いです。複雑な形状の土地を貸す場合、専門家に依頼して更地価格を把握するのが望ましいでしょう。

 

変動率を乗じて既存借地料を見直す方法(スライド法)

 

借主と土地の賃貸借契約を締結した時点では、妥当な金額の借地料を設定していても、ずっと同じ金額というわけにはいきません。その時々の経済情勢などから既存の地代に変動率を乗じて、地代を見直す方法です。

 

変動率は、その時々の情勢などにより決めていきます。

経済情勢の変化や近隣環境の変化などから固定資産税や更地価格が変われば、借地料の相場も変わってくると考えるのが妥当です。

 

長い借地契約期間では、経済情勢の変動により固定資産税や更地価格は、貸している土地の近くに、大きな商業施設ができたり、新しい駅ができたりした場合、更地価格も大幅に上がる可能性が高いです。

逆にコンビニやスーパーなどが閉店したり移転したりすると、更地価格も下がることがよくあります。

 

借地料の相場もこうした周辺の事情に左右され、時代とともに変化していくのです。契約時に決めた借地料が現在の相場よりも少し安くなってしまったくらいあれば、そのままの借地料で続けても問題ないでしょう。

 

しかし、現在の相場と大きく乖離してきたら見直しが必要になります。

借主に借地料の見直しを打診するタイミング

 

借地料の見直しは、地主の一方的な取り決めにより行うことはできません。契約の相手である借主の同意が必要になります。

 

そこで悩むのが借主に借地料の見直しを打診するタイミングです。タイミングによっては、すんなりと同意してくれないこともあるかもしれません。

 

借地権があると、非常に長い期間の付き合いになるため、なるべく波風は立てたくないでしょう。打診しやすいタイミングは、固定資産税と都市計画税が上がったときです。

固定資産税と都市計画税は、地主が負担しているため、上がってしまうと地主の手取りが減ってしまいます。

 

そのことを理由に、借主に交渉すればスムーズにいく可能性が高く、税金が上がった割合で負担して欲しいということで交渉すれば、渋々ながらも同意してくれるでしょう。他に、契約の更新時なども、借地料を見直す良いタイミングです。

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