税理士・公認会計士OISC飯塚税務会計事務所

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ご逝去にともなう各種お届け・手続

何かと慌ただしいですが、慎重に進めて参りましょう。

 

 

葬儀前または直後に必要な届け・手続き

 

死亡届

期限 死亡を知った日から7日以内(国外にいる場合は3カ月以内)

 

手続先 死亡地、本籍地、住所地のいずれかの市区町村の戸籍・住民登録窓口

 

必要なもの 医師による死亡診断書(警察による死体検案書)、届出人の印鑑

 

備考 24時間受付ています 葬儀社による代理届け出もできます



死体火・埋葬許可申請

期限 死亡届と一緒に行います

 

手続先 死亡届と同じ

 

必要なもの 死体火葬許可申請

 

備考 申請直後に死体火葬許可証が交付されます

 

年金受給停止の手続

期限 死亡後速やかに(国民年金は14日以内)

 

手続先 社会保険事務所、または、市区町村の国民年金課などの窓口

 

必要なもの 年金受給権者死亡届、年金証書または、除籍謄本など

 

介護保険資格喪失届

期限 死亡から14日以内

 

手続先 市区町村の福祉課などの窓口

 

必要なもの 介護保険証など

 

住民票の抹消届

期限 死亡から14日以内

 

手続先 市区町村の戸籍・住民登録窓口

 

必要なもの 届出人の印鑑と本人確認できる証明書類(免許証、パスポートなど)

 

備考 住民票は通常、死亡届を提出すると抹消されます

 

世帯主の変更届

期限 死亡から14日以内

 

手続先 市区町村の戸籍・住民登録窓口

 

必要なもの 届出人の印鑑と本人確認できる証明書類(免許証、パスポートなど)

 

備考 故人が、3人以上の世帯の世帯主であった場合に必要です

 

遺言書の検認(けんにん)

期限 期限はありませんが速やかに

 

手続先 亡くなった方の住所地の家庭裁判所

 

必要なもの 開封・閲覧していない遺言書原本、遺言者の戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、受遺者(遺言で財産の贈与を受ける人)の戸籍謄本

 

備考 遺言書が公正証書でない場合のみ必要です



葬儀の後、なるべく早めに必要な届け・手続き

 

雇用保険受給資格者証の返還

期限 死亡から1カ月以内

 

手続先 受給していたハローワーク

 

必要なもの 受給資格者証、死亡診断書(死体検案書)、住民票など

 

備考 故人が死亡時に雇用保険を受給していた場合に必要です

 

相続の放棄

期限 死亡から3カ月以内

 

手続先 被相続人(相続される財産を遺して亡くなった方)の住所地の家庭裁判所

 

必要なもの 相続放棄申述書

 

備考 相続人が相続財産(遺産)を放棄する場合に必要です

 

所得税準確定申告・納税

期限 死亡から4カ月以内

 

手続先 亡くなった方の住所地の税務署、または勤務先

 

必要なもの 亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得の申告書、生命保険料の領収書、医療控除証明書類など

 

備考 故人が自営業または、年収2千万円以上の給与所得者の場合に申告・納税が必要です



相続税の申告・納税

期限 死亡日の翌日から10カ月以内

 

手続先 被相続人(故人)の住所地の税務署

 

必要なもの 申告書、被相続人(=故人)の戸籍謄本、除籍謄本・住民票・住民除票、 相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書など。

 

備考 相続する財産が基礎控除額以下の場合は、納税も申告もする必要はありません

 

生命保険金の請求

故人が生命保険に加入していた場合、請求によって死亡保険金が支払われます。

 

期限 死亡から2年以内

 

手続先 契約していた保険会社

 

必要なもの 死亡保険金請求書、保険証券、最後の保険料領収書、保険金受取人と被保険者(故人)の戸籍謄本、死亡診断書、受取人の印鑑証明書

 

備考 死亡保険金の受取人が被保険者(故人)の場合は、相続財産の対象になるため、相続確定後に請求します

 

補助金や給付金、高額医療費払い戻しなどを受ける手続き

国民年金の死亡一時金請求

国民年金の保険料を3年以上納めた人が、老齢基礎年金、障害基礎年金のどちらも一度も受け取らずに亡くなったとき、故人と生計をともにしていた遺族に、保険料納付期間に応じた定額の「死亡一時金」が支払われます。

 

期限 死亡から2年以内

 

手続先 亡くなった方の住所地の市区町村国民年金課など

 

必要なもの 死亡一時金裁定請求書、年金手帳、除籍謄本、住民票写し、印鑑、振込先口座番号

 

備考 遺族が遺族基礎年金、寡婦年金の受給資格がない場合に限られます。ただし、寡婦年金と死亡一時金の両方の受給資格がある場合(故人の妻など)には、どちらか一方だけ選ぶことになっています

 

健康保険加入者の場合の埋葬料請求

企業や団体の健康保険組合に加入していた人(本人・家族とも)が亡くなった場合、葬儀・埋葬の補助として5万円が支給されます。

 

期限 死亡から2年以内

 

手続先 健康保険組合または、社会保険事務所

 

必要なもの 健康保険埋葬料請求書、健康保険証、死亡診断書のコピー、印鑑、振込先口座番号

 

備考 故人に遺族・身寄りがない場合、葬儀・埋葬を行った人に埋葬料5万円の範囲内で、実費が支払われます(この場合は「埋葬費」といいます)。また、健康保険組合によっては、埋葬料以外に付加給付金が支給されることもあります。組合にお問い合わせください。

 

船員保険加入者の場合の葬祭料・家族葬祭料請求

船員保険組合に加入していた人が職務外の事由で亡くなった場合、また扶養者となっている家族が亡くなった場合、葬祭料・家族葬祭料として5万円が支給されます。

 

期限 葬儀から2年以内

 

手続先 健康保険組合または、社会保険事務所

 

必要なもの 船員保険葬祭料(家族葬祭料)請求書、船員保険証、死亡診断書のコピー、印鑑、振込先口座番号

 

備考 船員保険の被保険者が亡くなった場合には、葬祭料とは別に、当時の標準報酬月額の2カ月分から葬祭料(5万円)を控除した額が付加給付として支給されます。

また、被保険者の家族が亡くなった場合には、家族葬祭料とは別に、当時の標準報酬月額の1.4カ月分から葬祭料(5万円)を控除した額が付加給付として支給されます。

 

国民健康保険加入者の葬祭費請求

国民健康保険の被保険者が亡くなった場合、葬祭費(1~7万円 自治体によって異なる)が支給されます

 

期限 葬儀から2年以内

 

手続先 被保険者(故人)の住所地の市区町村国民健康保険の窓口

 

必要なもの 葬祭費支給申請書、国民健康保険証、葬儀社の領収書など、印鑑、受取人の振込先口座通帳

 

備考 葬儀社の領収書などがない場合は、葬儀社の電話番号、葬儀の案内状・挨拶状など喪主の確認できる資料が必要です。

自治体によって、申請に必要なものは異なる場合があります。

 

高額医療費の申請

「高度医療費制度」によって、1カ月の医療費の自己負担額が高額になった場合、70歳未満の方は、所定の窓口に「健康保険限度額適用認定申請書」を提出し認定証を交付してもらえば、一定の自己負担限度額を超えた分が払い戻されます。事前申請が原則ですが、死後申請もできます。

 

期限 対象の医療費の支払いから2年以内

 

手続先 被保険者(故人)の健康保険組合または、社会保険事務所、市区町村国民健康保険の窓口

 

必要なもの高度医療費支給申請書、高度医療費払い戻しのお知らせ案内書、健康保険証、医療費の領収書など、印鑑、受取人の振込先通帳または口座番号

 

備考 70歳以上の方は申請手続きしなくても、公費負担分が差し引かれた自己負担限度額のみが請求されます。

払い戻しのシステムが保険組合によって異なることがありますから、一度問い合わせした方がよいでしょう。

 

労災保険の埋葬料請求

労働者が業務上の事故が原因で亡くなったときに、遺族に労災保険から埋葬料が支給されます。

 

期限 葬儀から2年以内

 

手続先 故人の勤務先を所管する労働基準監督署

 

必要なもの 埋葬料請求書、死亡診断書(または、死体検案書)のコピー

 

備考 出勤途中の事故などの「通勤途上災害」で亡くなった場合も労災保険から給付がされますが、給付内容は上記と異なります。

遺族年金などを受け取るための手続き

国民年金の遺族基礎年金請求

国民年金加入している人が亡くなった場合、故人によって生計が維持されていた子どものいる妻、または子どもには年金が支給されます。ただし、故人が保険料を納付している期間(免除期間を含む)が加入期間の3分2以上あり、亡くなった月の2カ月前までの1年間に保険料の未納がないことが条件になります。故人の年齢に条件はありません。

 

期限 逝去から5年以内

 

手続先 故人の住所地の市区町村国民年金窓口

 

必要なもの 国民年金遺族基礎年金裁定請求書、故人の年金手帳、戸籍謄本、死亡診断書のコピー、源泉徴収票、印鑑、振込先口座通帳または口座番号

 

備考 子どもが18歳になった年度の末日まで支給されます。また、子どもが障害者の場合は20歳 まで支給されます。

 

国民年金寡婦年金請求

国民年金保険料の納付済期間(免除期間も含む)が25年以上ある夫が、年金を受け取らないうちに亡くなった場合、故人と生計をともにしていた妻には寡婦年金が支給されます。

ただし、結婚期間が10年以上ある子どものいない妻で、65歳未満であることが条件です。支給額は故人が受け取ることのできた老齢年金の75%の金額、支給期間は妻が60~65歳の間です。

 

期限 死去から2年以内

 

手続先 住所地の市区町村の国民年金窓口

 

必要なもの 国民年金寡婦年金裁定請求書、故人の年金手帳、戸籍謄本、死亡診断書のコピー、妻の所得の証明書、印鑑、振込先口座通帳または口座番号

 

備考 妻が老齢基礎年金の繰り上げ支給を受けている場合、夫の死後再婚した場合には国民年金寡婦年金は支給されません。

また、国民年金の死亡一時金と寡婦年金の両方を受給することはできませんから、いずれかを選ぶ必要があります。

厚生年金の遺族厚生年金請求

厚生年金保険料の納付済期間(免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上ある人が、次のどれかに当てはまるケースで亡くなった場合、遺族には厚生年金遺族年金(故人の年金額の4分の3)が支給されます。

 

厚生年金加入者が在職中に亡くなったとき

 

退職などで厚生年金から脱けた後、厚生年金加入中に初診日のある疾病によって初診日から5年以内に死亡したとき

 

老齢厚生年金の資格期間を満たした者が死亡したとき

 

1級・2級の障害厚生年金を受けられる者が死亡したとき

 

期限 死去から5年以内

 

手続先 故人の勤務先を所管する社会保険事務所

 

必要なもの 遺族厚生年金裁定請求書、故人の年金手帳、戸籍謄本、死亡診断書のコピー、所得の証明書、住民票のコピー、受取人の印鑑、振込先口座番号

 

備考 遺族厚生年金の受給者には国民年金の遺族基礎年金も支給されます。

 

労災保険の遺族補償給付請求

労働者が業務上の事故が原因で亡くなったときに、故人によって生計を維持されていた遺族には労災保険から遺族補償年金が支給されます。

 

期限 死去から5年以内

 

手続先 故人の勤務先を所管している労働基準監督署

 

必要なもの 遺族補償年金支給申請書、故人との関係がわかる戸籍謄本、死亡診断書(死体検案書)、源泉徴収票など(故人により生計が維持されていたことを証明する書類)、故人と受給者が生計を一にしていたことを証明する書類

 

備考 出勤途中の事故など「通勤途上災害」によって亡くなった場合も、遺族補償年金が申請でき給付されます。

なお、労災保険では遺族一時金、遺族特別年金があり遺族補償年金に上乗せされて支給されます。

名義変更や解約などが必要な手続き

不動産の名義変更

故人の所有していた土地・建物などの不動産を相続する場合は、登記簿を名義変更します。

 

期限 相続確定後速やかに速やかに

 

手続先 地方法務局

 

必要なもの 登記申請書、被相続人(故人)の戸籍謄本、故人の除籍謄本、改製原戸籍謄本及び住民票除票、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、相続する人の住民票、遺産分割協議書、固定資産評価証明書

 

備考 固定資産評価証明書に基づいて相続税がかかります。死去から10カ月以内に申告・納税しなければなりません。



預貯金の名義変更

故人名義の預貯金口座は、死亡届が受理された直後から相続が確定するまで事実上凍結されます。遺言書や遺産分割協議によって相続人が確定したら、口座の名義人を相続人に変更します。

 

期限 相続確定後速やかに

 

手続先 預け入れ金融機関

 

必要なもの 名義変更依頼書、被相続人(故人)の戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、遺産分割協議書(コピー)、通帳

 

備考 預貯金額に基づいて相続人には相続税がかかります。死去から10カ月以内に申告・納税しなければなりません。

株式の名義変更

故人名義の株式は、死亡届が受理された直後から売買ができません。遺言書や遺産分割協議によって相続人が確定したら、株式の名義人を故人から相続人に書き換えます。

 

期限 相続確定後速やかに

 

手続先 証券会社または、株式発行法人

 

必要なもの 株式名義書換請求書、株券、被相続人(故人)の戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、遺産分割協議書

 

備考 株式評価額に基づいて相続人には相続税がかかります。死去から10カ月以内に申告・納税しなければなりません。



自動車所有権の移転

自動車は相続財産(遺産)となる動産です。遺言書や遺産分割協議によって相続人を確定し、所有権を故人から相続人に移転します。

 

期限 相続から15日以内

 

手続先 陸運局支局

 

必要なもの 所有権移転申請書、自動車検査証、被相続人(故人)の戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、遺産分割協議書(陸運局所定の用紙)、相続人の委任状、自動車税申告書、手数料納付書、車庫証明書など

 

電話(加入固定電話)の名義変更

期限 確定後速やかに

 

手続先 日本電信電話会社

 

必要なもの 電話加入承継届、被相続人及び相続人の戸籍謄本、相続人の印鑑証明書

 

公共料金の名義変更

期限 確定後速やかに

 

手続先 電力会社、水道局、ガス会社など

 

必要なもの 問い合わせのこと

 

クレジットカード

故人の名義のクレジットカードなどは、解約しカードを廃棄する必要があります。カード会社によっては、カードの返送を求める場合もあります。

また、クレジットやキャッシュローンの未精算金・返済額が残っている場合は、遺産となりますから、相続人は相続放棄をしないかぎり、精算・返済する義務も負います。

 

期限 相続確定後速やかに

 

手続先 各クレジットカード会社

 

必要なもの 解約手続き書類、クレジットカード会社の指定するもの

 

運転免許証

期限 死後速やかに

 

手続先 最寄りの警察署

 

パスポート

期限 死後速やかに

 

手続先 都道府県旅券課

 

携帯電話、プロバイダー、介護サービス、給食サービスなどの契約サービス

期限 死後速やかに

 

手続先 各サービス契約先に連絡し解約します。利用代金の残額がある場合には精算します。

 

ゴルフ会員権の名義変更

ゴルフ会員権はクラブによって規定があり、名義変更できない場合もあります。

 

また、会員が死亡した場合にはクラブが買い取る場合もあります。

 

ゴルフクラブに問い合わせください。

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贈与税がかからない制度~贈与税の制度と活用方法

 

 

  1. 暦年課税の基礎控除

毎年、110万円までの贈与は贈与税がかかりません。これは、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った贈与の合計が110万円以下の場合に適用されます。

 

  1. 相続時精算課税の基礎控除と特別控除

相続時精算課税制度を選ぶと、年間110万円の基礎控除に加えて、累計2500万円まで贈与税がかからない特別控除があります。

 

  1. 日常的な贈与

日常生活でのお小遣いやお年玉、生活費などは贈与税がかかりませんが、高額な贈与は税の対象になることがあります。

 

  1. おしどり贈与

夫婦間で20年以上連れ添った場合、住宅や住宅購入資金の贈与について最大2000万円が非課税になります。

 

  1. 住宅取得等資金の非課税措置

親や祖父母からのマイホーム購入やリフォーム資金について、最大1000万円まで贈与税がかかりません。

 

  1. 教育資金の非課税制度

2026年3月31日まで、30歳未満の子や孫が教育資金を一括で受け取る場合、1500万円まで非課税です。

 

  1. 結婚・子育て資金の非課税制度

2025年3月31日まで、18歳以上50歳未満の人が結婚・子育て資金を受け取る場合、1000万円まで非課税です。

 

  1. 特定障害者の贈与税非課税制度

特定障害者への贈与については、年間6000万円まで(特別障害者の場合)または3000万円まで(特別障害者以外の場合)非課税です。

 

これらの制度を上手に活用することで、贈与税を支払うことなく財産を受け取ることが可能です。ただし、それぞれの制度には条件がありますので、詳細は専門家に相談することをお勧めします。

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令和6年相続税と贈与税の改正について



 

改正のポイント1: 相続時精算課税制度の基礎控除

相続時精算課税制度に新しく基礎控除が設けられました。これにより、年間110万円までの贈与は贈与税相続税もかからなくなります。これまでは2,500万円までの特別控除がありましたが、新しい基礎控除はそれとは別に設定されています。

改正のポイント2: 相続税加算期間の変更

相続税の加算期間が死亡前3年から7年以内に変更されました。これにより、7年以内の贈与が相続税の対象となるため、税負担が増える可能性があります。

改正のポイント3: 非課税期間の延長

教育や結婚・子育て資金の一括贈与に関する非課税期間が延長されました。教育資金は2026年まで、結婚・子育て資金は2025年まで非課税が適用されます。

 

まとめ

2024年1月1日からの税制改正により、相続税贈与税の負担が軽減される場合もあれば、増える場合もあります。贈与を考えている方は、どちらの制度が適しているかをよく検討し、必要に応じて専門家のアドバイスを求めることをお勧めします。これにより、税負担を適切に管理することができます。

所得税についてよく頂戴する質問

 

 

Q.株や副業の収入が20万円以上でなければ納税の義務はありませんか?

A、

 

​株などの取引の利益や、副業の収入などの所得の合計が年間20万円以下であれば申告は不要ですが、これはあくまでも「所得税」に限ってのことです。市区町村に支払う住民税に関しては、20万円ルールのような特例措置はありません。住民税は、別に申告しなくてはなりません。

確定申告は所得税額を算出して申告するものですが、この確定申告の情報はそのまま市区町村に送られます。住民税は所得に応じて加算されるため、確定申告の情報をベースに決まります。しかし、20万円ルールにもとづいて確定申告をしなければ、自治体に必要な情報が届きません。そのため、本来は納めなくてはならない住民税を、納め忘れてしまうことが起こります。

株や投資信託の取引であれば、「特定口座の源泉徴収あり」の口座で取引をしていれば、申告漏れを防ぐことができます。

 

Q.給与所得者でも確定申告が必要な場合は?

A、

 

会社勤めをしている人やパート、アルバイト、派遣などで給与をもらっている方は、給与所得者に該当します。このような方のうち、会社で年末調整をしている方は、原則として所得税の確定申告をする必要はありません。

 

ただし、年末調整を行った主な給与収入のほかに給与収入がある場合や、給与以外に副業などの所得(雑所得・不動産所得など)がある場合は、金額によって確定申告が必要です。所得税の確定申告をしなくてもいい金額は、下記のとおりです。

 

 

 

・複数の会社から給与をもらっている場合

1月1日から12月31日までのあいだに、主に働いている会社(年末調整をした会社)以外から受け取った給与が年間で20万円以下なら、所得税の確定申告不要。

 

 

 

・給与以外のその他の所得(副業収入など)がある場合

1月1日から12月31日までの収入から経費を引いた金額が年間で20万円以下なら、所得税の確定申告不要。

 

なお、主に働いている会社以外から受け取った給与と、給与以外の所得の両方がある人は、両者を足した合計金額が年間で20万円以下なら所得税の確定申告が不要となります。

 

Q.個人事業主フリーランスで確定申告が必要な場合は?

A、

 

個人事業主フリーランスとして働いている方は、収入から経費などを差し引いた「事業所得」の金額が年間で48万円以下なら、所得税の確定申告をする必要がありません。これは、合計所得金額が2,400万円以下の場合、誰でも受けられる基礎控除が48万円だからです。

 

よって、事業所得含む合計所得金額が年間48万円以下であれば、基礎控除で全額を課税所得金額から差し引くことができるため、所得税が発生しません。

 

ただし、青色申告特別控除を受けるためには確定申告が前提となるため、青色申告特別控除を引く前の金額が48万円以内におさまるかどうかで判断してください。

 

なお、会社員の副業による雑所得と、個人事業主の事業所得の違いは、継続的に事業規模と認められる収益が上がっているかどうかにあります。事業規模と認められた場合は、会社員であっても開業届を提出して、事業所得として申告が可能です。

 

会社員が事業所得として副業の確定申告をする場合、確定申告が必要かどうかの金額は年間で副業の利益が20万円を超えるかどうかで、48万円ではありません。

 

Q.年金生活者で確定申告が必要な場合は?

A、

 

国から支給される公的年金を受け取って暮らしている人は、年間の年金収入が400万円以下なら所得税の確定申告が不要です。また、公的年金以外の雑所得などがある場合、それらの合計が年間20万円以下であれば確定申告の必要はありません。年間で20万円を超える雑所得などがある人は、確定申告が必要です。

 

Q.不動産賃貸業を法人化するメリットは?

A、

 

1、個人と法人の税率差で節税できる

個人に対する所得税の税率は、所得が多くなればなるほど段階的に増加する仕組みになっています。

 

これを超過累進税率といい、最低5%~最高で45%にもなります。

 

一方、法人税の税率は所得が800万円までは15%、800万円を超えた場合は超えた部分のみ23.2%となるシンプルな仕組みです。

 

したがってある程度の所得になると、法人の税率よりも、個人の税率のほうが高くなります。

 

こうした仕組みの違いを活かして個人と法人の税率差により、節税対策が可能です。

 

2、個人の所得をコントロールできる

個人事業主は自分に給与を支払うことはできませんが、法人化することにより自分に役員報酬を支払うことができ、金額もコントロールすることができます。

 

また家族を役員にすることにより、不動産からの収益を役員報酬として家族に分配することができるため、個人の所得の増加や相続財産の増加を抑えることもできます。

 

 

3、事業的規模に関係なく節税できる

個人で不動産業をおこなう場合「5棟10室基準」のような事業的規模でなければ、家族を青色事業専従者(白色申告の場合は事業専従者)とすることができないため、家族に支払った給与は経費になりません。

 

しかし法人の場合にはそのような規定はありませんので、たとえ事業的規模ではなかったとしても役員報酬を経費とすることができますし、役員報酬を受け取る人は給与所得控除の適用を受けることができます。

 

 

4、厚生年金と退職金を積立てできる

法人であれば社会保険(健康保険・厚生年金)に加入することになります。

 

また厚生年金の加入により将来の年金の受給額を増やすこともできます。

 

自分や家族に支払う退職金については個人事業では経費になりません。

 

しかし法人では経費となるため、退職所得として退職所得控除の適用を受けることができ、税法上有利です。

 

また法人では契約者を法人、被保険者を個人、保険金の受取人を法人とする生命保険に加入することもできます。

 

個人が亡くなったときに法人で受け取った保険金を家族に死亡退職金として支払えば、相続税の非課税枠を使うことができ、節税になります。

 

 

5、物件の売り時を逃さない

損切りなど、短期譲渡を視野に入れている不動産オーナーは法人化を検討しましょう。

 

個人の場合は必ず減価償却が必要となり、物件の取得価額から減価償却費を差し引いたものが物件の帳簿価額になります。

 

この帳簿価額と売却金額の差額が売却益となります。

 

個人の場合には年数が経過すればするほど帳簿価額が小さくなるため、売却益が大きくなる可能性があり、取得後5年未満に物件を売却した場合、短期譲渡所得の税率が39%(所得税、住民税)に増加します。

 

しかし、法人なら減価償却をするかどうかは任意です。

 

また法人は個人のよりも低い税率のため、不動産投資でキャピタルゲインを狙う場合、法人で所有するほうが有利になるでしょう。

 

 

6、不動産以外の支出も経費になる

個人事業主の支出は生活費と混合しがちのため、不動産業であれば、不動産に関わる経費に限り計上することが認められます。

 

これに対し、法人の支出は不動産に限らず法人の事業活動において支出されているものであれば、全て経費に認められます。

 

さらに大規模修繕に備えて契約者を法人、被保険者を個人、保険金の受取人を法人とする生命保険に加入すれば、掛金の一部を経費とすることもできます。

 

 

7、相続時に有利になる場合がある

個人オーナーが株主になり、個人の不動産を法人に移すことにより、個人の相続財産を減らす効果が期待できます。

 

株主に相続が発生すれば、この株式も相続財産となり、法人の収益が上がると(株価が上がり)相続財産が増加します。

 

株価上昇の対策として、法人の借入を増やし、株価を下げたうえで株式を子供に贈与する方法があります。

 

借入をすると負債が増えることになりますので、株価を下げることができます。

 

このタイミングで株式を子供に贈与することで、相続税および贈与税を抑えることができます。

 

 

8、損失を10年間繰り越すことができる

法人の場合は青色申告であれば赤字(欠損金)を10年間、繰り越すことができます。

 

例えば初年度が赤字になった場合、2年目や3年目以降の任意の事業年度に利益から赤字分をマイナスして、法人税の支払いを減らすことができます。

 

個人の場合は青色申告でも3年間しか繰り越せませんので、この点では法人の方が有利です。

 

 

9、消費税の免税事業者になる

貸店舗、倉庫、駐車場などといった住宅以外の家賃収入が1,000万円を超える場合には、消費税の課税事業者になります(住宅の場合、消費税は非課税とされています)。

 

しかし法人を設立して第1期・2期については原則として消費税は課税されないため、住宅以外の課税対象の家賃収入が1,000万円を超えるタイミングで法人化を検討しましょう。

 

Q.サブリース契約締結の際の注意点は?

A、

 

サブリース契約を検討される際には、以下の事項に留意する必要があります。

 

 

 

1、契約期間中や契約更新の際に賃料が減額される可能性がある

 

 賃借人であるサブリース業者は、借地借家法32条の規定により、賃料の減額請求ができます。

 

ただし、国土交通省の標準契約約款によると、下記のいずれかに該当する場合に、建物所有者に対して減額請求をすることができるものとされており、たとえばサブリース業者の業績悪化や、空室の増加のみを理由とした減額請求はできないものとされています。

 

①土地又は建物に対する租税その他の負担の増減により不相当となったとき

 

②土地又は建物の価格の上昇又は低下その他の経済事情の変動により不相当となったとき

 

③近傍同種の建物の賃料に比較して不相当となったとき

 

 賃貸人の立場としては、その請求を受け入れなければならないわけではありませんので、必ずしも減額になるとは限りませんが、当初の賃料が契約期間満了まで保証されるものではないことに、留意しておく必要があります。

 

 

 

2、サブリース業者から解約される可能性がある

 

 サブリース業者は賃借人であり、一般の賃貸借契約と同様に、契約更新を拒絶することができます。また、賃貸借契約にて解約予告が定められている場合、サブリース業者は、その規定に基づき契約期間中に解約(中途解約)することもできます。

 

 他方、賃貸人である建物所有者が契約更新を拒絶する場合、借地借家法第28条に規定する正当事由が必要となります。

 

 したがって、建物所有者は、自己都合により契約更新を拒絶することは難しい一方で、サブリース業者から契約更新の拒絶、又は中途解約される可能性があることに留意しておく必要があります。

 

Q.サブリース物件の売却の流れは?

A、

 

1、売却前にサブリースを解約するか継承か決める

 

売却活動をする前に解約するのか選択をします。解約と継承のメリットとデメリットを比べて判断してください。基本的には解約した方が購入希望者は多くなります。

 

 

 

2、サブリース契約書を確認する

サブリース契約の解約について契約書の条文を確認します。違約金、解約期間を詳しく把握します。解約申請の際にトラブルにならないように注意します。

 

 

 

3、サブリース解除の通知書を申請する

サブリース会社へ契約解除の通知書を作成し申請します。

 

解約の根拠となる条文、解約日、違約金などの重要な内容をもれなく伝えます。

 

「正当事由」として解約に合意にすれば、契約を解約して売却を進める流れになります。

 

 

 

4、新しい管理会社から入居者に通知する

解約に合わせて、次の新賃貸管理会社から入居者に連絡をします。売却が決まっていれば買主の指定する不動産業者から連絡をしてもらいます。敷金や鍵などのサブリース会社から移行します。保証会社の引継ぎも忘れないようにします。

 

 

 

5、解約ができない場合は継承する

サブリースが解約できない場合は、契約内容を継承する合意書を作成します。売主、買主、サブリース会社の3者合意になります。何月分家賃から変更になるのかなど細かな合意をします。基本的には同一条件の継承になりますが、変更があればそれも明記します。

 

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贈与についてよく頂戴する質問

 

 

Q.相続時精算課税制度を利用する場合の注意点は?

A、

 

①相続時精算課税制度を選択すると暦年課税を使うことができない

長期にわたって贈与を受ける場合には、暦年課税のほうが得になる場合があるので注意が必要です。

 

②小規模宅地等の特例の適用ができない

相続時精算課税を利用するとこの特例が適用できなくなります。自分が住んでいる土地などを贈与しようとする場合には注意が必要です。

 

③相続時に課税される

相続時精算課税制度は贈与時には贈与税がかからなかったとしても相続時には、贈与を受けた財産を相続財産に加算することになります。

 

​​

 

Q.結婚20年以上の夫婦が対象の贈与税配偶者控除とは?

A、

 

夫婦間で居住用不動産(自宅など)を贈与する場合は、「贈与税配偶者控除」という特例を受けることができます。

 

この特例は結婚して 20 年以上の夫婦が対象です。 (※同じ配偶者間では 1 回しか適用できません。)

 

①効果

 

自宅や住宅資金、土地などの居住用不動産を贈与するときに限って、2,000 万円が控除され、110 万円の基礎控除と合わせると 2,110 万円までは非課税になります。

 

②注意点

土地の名義変更にともなう諸費用がかかるため、費用をかけてでも配偶者に贈与したほうが有利になるかどうか、事前に相続税の確認をしておきましょう。

 

Q.結婚・子育て資金贈与とは?

A、

 

子や孫に結婚、出産、子育ての資金としての費用を一定額まで非課税で贈与できる制度です。

 

①効果

 

結婚・子育ての支払いに充てるため、直系尊属から贈与を受けた場合、金銭等のうち1,000万円(うち結婚式等の費用は300万円)までの金額については、一定の要件を満たせば贈与税が非課税になります。

 

対象は、結婚に際して支出する婚礼費用、住宅費用、出産・子供の医療費、保育料等です。

 

②注意点

結婚・子育て資金贈与を行う際は下記の3つに注意しましょう。

 

・金融機関で手続きが必要

 

・50歳時の残高はその年の贈与税の課税対象になる

 

・50歳満了時までに贈与者が亡くなった場合、残高は相続税の課税対象になる(相続税の2割加算はない)

Q.子や孫に対する教育資金一括贈与とは?

A、

 

教育資金贈与とは、子や孫などに対して教育資金を贈与する場合、一定額までが非課税になる制度です。

 

①効果

 

受贈者30歳未満の方の教育資金に充てるため、直系尊属(父母や祖父母)から贈与を受けた場合、信託または金銭等のうち、1,500万円(うち学校等以外は500万円)までの金額については、一定の要件を満たせば贈与税が非課税になります。

 

対象は、学校の入学金や授業料・習い事・塾代、通学定期代や留学渡航費等です。

 

②注意点

教育資金の一括贈与を行う際は、下記の2つに注意しましょう。

 

・金融機関で手続きが必要

 

・30歳時の残高はその年の贈与税の課税対象になる

 

 

Q.現金を手渡しすれば、贈与税の申告漏れがばれないのでは?

A、

 

たしかに、振込や不動産の名義変更と違って、現金の受け渡しについては税務署も発見しにくいことは確かです。

 

ところが、事実として贈与税の税務調査は毎年行われています。現金贈与を受けた数年後に、何の前触れもなく税務調査が行われることもあるのです。

 

なぜなら税務署は、課税につながる情報を常に収集しており、「贈与があったのでは?」という仮定が立てば税務調査を行っているからです。

 

税務署が贈与を把握するきっかけのひとつが、「お尋ね」と呼ばれる文書です。お尋ねとは、税務署から送られるアンケート用紙のようなもので、回答を記入して期日までに税務署に返送する仕組みになっています。

 

お尋ねには複数の種類があり、その一つに、不動産を購入した個人に送られるものがあります。税務署が不動産の名義変更の情報などをもとに対象者をピックアップして送付しているものです。

 

このお尋ねの回答項目の中に、「支払金額の調達方法」があり、物件の購入費をどのように用意したかを詳細に記載するようになっています。自分名義の預貯金から支払ったのか、家族名義の預貯金から支払ったのか、ローンを組んだのか、贈与を受けたのか、といった情報を記載します。

 

これらの情報を参考にして、税務署は贈与税の申告が必要なのか、必要であれば適切に申告が行われているのかを確認します。そして、贈与税の申告漏れが疑われる場合には、税務調査により本人に話を聞くといった対応をすることになります。

 

 

Q.贈与税無申告のペナルティーは?

A、

 

申告期限までに申告をしていなかった場合、無申告加算税が課される可能性があります。無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分に対して20%の割合で加算されるものです。

 

申告をしなかったことについて、書類を偽造するなどの不正行為があった場合は、無申告加算税に代えて、さらに税率が高い重加算税が賦課されるおそれもあります。たとえば税務署から送付されたお尋ねに対して、虚偽の回答をして申告を免れようとした場合などは、最高で50%もの割合で重加算税が賦課される可能性もあるのです。

 

このほか、納税をしていなかったことに対するペナルティも別に設けられています。こちらは延滞税と呼ばれるもので、法定納期限の翌日から、完納するまでの日数に応じて加算されます。贈与税の申告だけでなく、納税も適切に行う必要があるということを覚えておきましょう。

 

 

Q.贈与税の時効は?

A、

 

贈与税の時効は原則6年、脱税目的で贈与を隠すなど故意に申告しなかった場合には7年に延長されます。

 

贈与の事実があった場合には上記の期間で時効が成立しますが、そもそも贈与ではないとされてしまった場合には当然時効もありません。

 

贈与は財産をあげる、もらうというお互いの意思が無いと成立しません。

 

例えば、親が子名義の預金口座に勝手に貯金をしていた場合にはもらう側の意思がありませんから贈与ではありません。親側が贈与のつもりであったとしても贈与の事実はありませんから、時効も無いということになります。

 

 

Q.気付かずに贈与税課税対象になる場合とは?

A、

 

1、財産を安く譲ってもらった場合

親が持っている財産を安い値段で譲ると、贈与税の対象になるかもしれません。

 

例えば500万円の価値があるアート作品を、10万円でで子供に譲ったら、差額の490万円が贈与税の対象になる可能性があります。

 

ただし子供が借金の返済に困っているなど特殊な状況であれば、返済金額分は贈与税の対象にならないこともあります。

 

各個人の状況によっても異なるため、不安な人は事前に弁護士・税理士へ相談しておくのがおすすめです。

 

 

2、親が負担していた生命保険を受け取る場合

親が保険料を払っている生命保険を、親が生きている状況で、子供が受け取ると贈与税の対象になるかもしれません。

 

なぜなら「親が積み立てた財産を子供が受け取る」と認識されるからです。

 

親が死亡したり、ケガ・病気などの理由があれば、非課税になる可能性もあります。

 

 

3、教育・生活用の贈与を目的に使わなかった場合

教育・生活費の贈与は、基本的に贈与税の対象外になります。

 

ただし親からもらったお金を教育費・生活費として使わずに、他の目的に使ったとしたら、贈与税の対象になるかもしれません。

 

教育・生活費の贈与であれば、しっかり使い道まで確認しておきましょう。

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相続に関してよく頂戴する質問

 

 

Q.税務調査が入りやすい方の特徴は?

A、

  1. 現金預金の不明瞭な動きがある
  2. 手書きで作成した申告書等、一見してレベルが明らかな申告書の提出
  3. 納税額が多い
  4. 金融財産が相続財産のほとんどである
  5. 相続人間でもめたため、内容の異なる申告書を複数提出している
  6. 相続税を申告すべきなのに、無申告

​​

Q.相続税額0円≠申告が必要でない、の意味は?

A、

相続財産額が基礎控除額に及ばない=申告不要

一方、相続税額0円となる場合でも、「配偶者控除」「小規模宅地等の特例」によって税額0円となる場合=申告必要

Q.遺産未分割の場合はどうすればいいか?

A、

遺産分割協議がまとまらず、申告期限に間に合わない場合は、とりあえずの概算で申告し、後日修正することになります。

なお、遺産分割ができていない状態で相続税を申告すると、遺産分割を済ませて申告する場合に比べて不利になることがあります。

遺産が未分割のまま相続税を申告するときの主な問題点として、以下の五つをあげます。

  • 配偶者の税額軽減が受けられない
  • 小規模宅地等の特例が適用できない
  • 農地・非上場株式の納税猶予が受けられない
  • 物納ができない
  • 遺産を納税に充てることができない

Q.「改製原戸籍謄本(原戸籍)」「戸籍の附票の写し」とは?

A、

原戸籍とは、新しい戸籍に書き換わる前の古い戸籍のことです。

一方、戸籍の附票の写しとは、戸籍には住所が記載されていないため、それを補うものとして、戸籍が作成されてからの住所がすべて記載されているものです。

 

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Q.公正証書遺言の確認方法は?

A、

公証役場にお問い合わせください。最寄りの公証役場に必要書類を持参すれば、どの公証役場で作成されたものであろうと存在の有無が確認可能です。ただ、照会可能なのは、相続人及びその代理人に限られます。

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Q.遺言書の内容に納得がいかないのですが?

A、

相続人等(受遺者も)全員の同意のもと、遺言内容に従わず、別途遺産分割協議可能です。

とはいえ、一人だけ相続分が多い場合、多くもらえる本人としてはたくさんもらいたい、と思っているでしょう。

話し合いをしても、遺言書の通りにすれば多くもらえる人が、自分の相続分が減る結果になる話し合いに積極的に参加するとは思えません。

そこで、納得がいかない遺言書に一人で対抗する「遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)」という手続きを行使すれば、自らの遺留分を取り戻すことができます。

遺留分被相続人の配偶者、直系卑属(子や孫)、直系尊属(親や祖父母)に認められており、割合は直系尊属のみが相続人である場合には1/3、それ以外の場合は1/2で、兄弟姉妹は対象外です。

遺留分は遺産の多くを受け取り、遺留分を侵害した相手に請求します。
遺留分侵害額請求は、次のような流れで進めます。

① 相手との話し合い

内容証明郵便で請求

家庭裁判所遺留分侵害額の請求調停を申し立てる

④ 裁判所に遺留分侵害額請求訴訟を起こす

なお遺留分侵害額請求には「相続開始または遺留分の侵害を知った日から1年以内」または「相続開始から10年以内」という時効があります。
これを過ぎた場合には請求できなくなるので、注意してください。

Q.相続人が海外にいる場合の手続きは?

A、

  1. 遺産分割協議は海外にいる相続人も含めて実施しなければなりません。
  2. 印鑑証明書に代えて、サイン証明書が必要です。遺産分割協議書を領事館に持参し、職員の前でサインをすることで取得します。当該サイン証明書は、相続税申告書の添付書類となります。
  3. 住民票の代わりに、在留証明書が必要です。上記サイン証明書同様、現地領事館で取得可能です。
  4. 海外在住のため、​申告書提出や納税が難しい場合は、親族などが海外にいる相続人の納税管理人として、申告納税が可能となります。「納税管理人届出書」を税務署に提出して行います。

​​

Q.名義預金の判定ポイントは?

 

 

A、

1、預金の原資を拠出した人で判断。他の預金からの書換え、不動産や株式の売却代金などで新たに口座開設をしたり預け入れている場合などの状況で判断します。

2、口座開設をする手続きを行った者は誰か、その財産の名義人がその名義を有することになった経緯などで判断。手続きを行った者が誰か判断する際には、手続きを行った時の書類の筆跡などから判断することもあります。

3、通帳や印鑑、キャッシュカードの管理、保管と預貯金の出し入れを行っている者などで判断します。例えば、被相続人と相続人の銀行印が同じである場合には、名義預金と判断される可能性も高くなるでしょう。

4、預金であれば利息、株式であれば配当金、賃貸不動産であれば家賃収入といった財産から発生する利益を誰が受け取っていたのかで判断します。

5、預金の解約、株式や不動産の売買契約の実行者は誰かなど、財産を処分することになった経緯などから判断します。

6、家族名義となった理由(贈与の有無など)、相続人が管理・運用をした理由(被相続人が相続人に委ねていたのかなど)、被相続人は入院中だったのか、被相続人が指示を出していたのかなどから総合的に判断します。

7、名義人が生前に被相続人から贈与を受けていれば、名義預金として相続財産に計上する必要はありません。贈与契約書の有無、名義人が自身で自由に管理・運用できる状態になっているかなど、形式面だけでなく実態面も伴っているかで判断します。

Q.地積規模の大きな宅地の評価とは?

 

 

A、

地積規模の大きな宅地の評価も広大地評価と同様、面積が著しく広い土地の評価額を減額できる制度です。

地積規模の大きな宅地の評価の要件は以下のとおりです。

①一定の面積以上であること

三大都市圏の土地であれば500㎡以上、それ以外の地域の土地であれば1,000㎡以上である必要があります。三大都市圏とは首都圏・近畿圏・中部圏を指し、対象となる市町村は法律で定められています。

②普通住宅地区や普通商業・併用住宅地区

土地の地区区分が普通住宅地区、もしくは普通商業・併用住宅地区である必要があります。なお、地区区分については路線価図で確認することができます。

③除外地域でないこと

要件の①と②を満たしていても「市街化調整区域」、「工業専用地域」、「容積率が400%(東京23区は300%)以上の地域」は地積規模の大きな宅地の評価を適用することができません。

Q.タワーマンションが節税になる(と言われていた)理由は?

 

 

A、

タワーマンションが節税になる理由は、土地・建物の相続税評価額が低くなるためです。

土地の相続税評価額については路線価で評価します。一般的な土地の場合には、路線価評価は時価の80%程度になります。そのため、土地の評価額は一般的にも時価よりも低く評価されるのですが、タワーマンションの場合には、さらに土地の持分割合(敷地権割合)が非常に低くなる点があります。

例えば100戸(床面積は同じ)のタワーマンションの場合、土地の面積に対する持分は100分の1になるため、土地の評価をする際の面積が低くなります。タワーマンションは超高層で階数が非常に多いので、持分割合は低くなり、土地の評価額も相当低く計算されるのです。

さらにタワーマンションを賃貸する場合には貸家建付地として評価を下げることができ、かつ、小規模宅地等の特例も適用ができます。特に小規模宅地等の特例は適用できる面積に上限がありますが、タワーマンションの場合には面積が非常に低くなるため、複数の土地に小規模宅地等の特例を適用することができ、大幅な節税となります。

さらに、建物の相続税評価額は固定資産税評価額がそのまま評価額となります。一般的な建物の場合には、固定資産税評価額は時価の60%程度になります。そのため、建物の評価額は一般的にも時価よりも低く評価されるのですが、タワーマンションの場合には、さら評価額が低くなります。

その理由としては、建物の評価額は面積に応じて平等に評価されます。つまり、低層階も高層階も面積が同じであれば同じ評価額になるのです。タワーマンション時価は圧倒的に高層階の方が高くなりますので、高層階ほど時価と固定資産税評価額(相続税評価額)との差が大きくなり、節税効果も大きくなります。

 

ちなみに、令和4年4月19日に「路線価に基づく相続財産の評価は不適切である」という判決が最高裁判所第三小法廷で下されました。被相続人が亡くなる前に不動産を取得したことについて、相続税の負担を減らすためにおこなった取引であると認定し、路線価ではなく税務署が主張する不動産鑑定の価格が妥当としました。

​当該判例により、今後は否認されるケースが多くなると予想されます。

Q.相続税を申告しないと、どうなりますか?

A、通常、税務調査で申告漏れの指摘を受け、期限後申告を促されることになります。 

期限後申告した場合は、通常、相続税に加えて、無申告加算税及び延滞税が課されます。

また、財産を隠蔽又は仮装していた場合は、無申告加算税に代えて、より税率の高い重加算税が課されることなります。

なお、税務署の指摘に従わず、期限後申告をしない場合は、税務署が相続税の税額を決定する処分が下されることになります。

 決定処分に不服がある場合は、「税務署長に対する再調査の請求」又は「国税不服審判所長に対する審査請求」をすることができます。

Q.なぜ申告が必要なケースであることが税務署にばれるのでしょうか?

A、 役所に死亡届が出されると、役所から税務署に通知されるため、税務署が相続開始を把握することができます。

そして、税務署は、次のような情報を閲覧して調査する権限があります。

 

・過去10年分の預貯金の出入金履歴

・過去10年分の有価証券の移動履歴

・不動産の登記情報、固定資産税の課税データ

・自動車の登録情報

・生命保険金の給付情報

・所得

 

税務署は、このような情報を元に、相続税の申告漏れをかなり正確に捕捉することができるのです。

Q.「相続税の申告等についてのご案内」が届いた場合どうすればいいですか?

A、被相続人の死亡の半年後頃に、相続人の住所地に「相続税の申告等についてのご案内」が郵送される場合があります。

相続税の申告等についてのご案内」には、「「相続税の申告書」または「相続税の申告要否検討表」の提出をお願いします。」と記載されています。

つまり、「相続税の申告等についてのご案内」は、相続人が相続税の申告の必要があると判断する場合は「相続税の申告書」を提出しなさい、ないと判断する場合は「相続税の申告要否検討表」に記入して検討したうえでその判断をし、検討に用いた記入済みの「相続税の申告要否検討表」を提出しなさいという趣旨の書類です。 

相続税の申告書」と「相続税の申告要否検討表」のどちらも提出しなくても罰則等はありませんが、その場合は、税務調査の対象となる可能性が高くなります。

相続税の申告等についてのご案内」が届いた場合は、税務署が、事前に掴んでいる情報から、申告が必要である可能性が極めて高いと判断しているケースです。 それにもかかわらず、申告もせず「相続税の申告要否検討表」も提出しないとなると、当然、税務調査の対象となる可能性が高くなります。 「相続税の申告要否検討表」を提出した場合は、これに記載された情報と、税務署が掴んでいる情報との整合性が検証され、疑わしい点がある場合は、税務調査の対象となる可能性が高くなります。

もっとも、「相続税の申告等についてのご案内」が送られているということは、前述のとおり、税務署が、既に捕捉している情報から、申告が必要である可能性が高いと判断しているわけであって、申告不要とする検討表の内容は、既存の情報と何らかの矛盾がある可能性が高く、検討表を提出した場合も、やはり、税務調査の対象となる可能性が高くなります。

ちなみに、「相続税の申告要否検討表」に事実と異なる記載をしても直接の罰則はありませんが、それによって申告要否の判断を誤る可能性があり、結果的に、無申告加算税や延滞税を課せられることになる可能性がありますし、税務調査と対象となる可能性も益々高まるでしょう。

したがって、「相続税の申告要否検討表」に記入する際は、しっかりと財産調査をした上で、正確に記載しましょう。 また、書き方が分からない場合や税務署か税理士に相談するとよいでしょう。

Q.「相続税についてのお知らせ」が届いた場合はどうすればいいですか?

A、「相続税の申告等についてのご案内」ではなく、「相続税についてのお知らせ」という書類が届くことがあります。 

この場合は、税務署が、「相続税の申告等についてのご案内」の場合ほど確実ではないものの、申告が必要である可能性があると考えている場合になります。

相続税についてのお知らせ」が届いた場合は、要否検討表のような提出書類はありませんが、内容物に目を通し、申告要否を検討しましょう。

 なお、「相続税の申告等についてのご案内」も「相続税についてのお知らせ」も届かない場合でも、無申告で税務調査の対象となった事例は存在しますので、何も届かない場合でも、申告の要否はしっかりと検討しましょう。

自分で申告要否を検討することが難しい場合は、税務署か税理士に相談するとよいでしょう。

Q.相続税の税務調査があるとしたらいつ頃ですか?

A、

相続税の税務調査の対象となった場合、通常、申告の翌年か翌々年の8月~11月に税務署から連絡がきて、9月~12月に実施されます。

この時期を過ぎると、税務調査が入る可能性は格段に低くなります。

 

 

Q.底地は売った方が相続税対策となるのでしょうか?

A、

普通借地の底地は、生前に売った方が相続税対策となることがよくあります。
理由としては、底地の相続税評価額は時価よりも高くなってしまうことが多いからです。

底地の相続税評価額は、更地の相続税評価額に底地権割合を乗じたものとなります。
底地権割合は、「1-借地権割合」で求められます。

借地権割合は、相続税路線価図に記号で定められている数値となります。


住宅地の場合、借地権割合はほとんど60%です。

底地権割合を40%とし、前章の例で底地の相続税評価額を求めると以下のようになります。

更地の相続税評価額は地価公示価格の8割程度ですので、地価公示価格水準が1,000万円の場合、更地の相続税評価額は800万円程度です。
800万円に底地権割合40%を乗じると、底地の相続税評価額は320万円と計算されます。

通常、本底地は売却すると160万円の価値なく、一方、相続税評価額としては320万円もあり、時価よりも相続税評価額の方が高くなってしまいます。

例えば、収益物件のような不動産は時価よりも相続税評価額が低いことが一般的であり、売るよりも持っていた方が相続税評価額を圧縮できるため、持ち続けることが相続税対策となります。

それに対して、底地は時価よりも相続税評価額が高くなってしまうことが多く、持っているよりも売った方が相続税評価額を圧縮できるため、売った方が相続税対策となるのです。

 

 

Q.底地を高く売る方法は?

A、

普通借地権の付着した底地を高く売るには借地人(借主)に買い取ってもらうことが最も適切です。

無関係な第三者が底地を買い取ると借地契約を簡単に解除できないという問題がありますが、借地人が買い取れば借地権が解消することができます。

借地権が解消されれば、利用の自由度が上がり、担保価値も上がります。
よって、借地人の買取価格には増分価値が認められ、第三者への売却よりも高く売ることができるのです。

通常、借地権価格と底地価格は合算しても更地価格には満たず、隙間のような部分が存在します。

借地人が底地を購入する場合は、隙間の中に存在する増分価値が底地価格に上乗せされるイメージです。

底地を高く売るには借地人に売ることが鉄則ですので、第三者に売る前に借地人に打診することをおすすめします。

Q.相続税対策として生命保険が有効とされる理由は?

 

 

A、

1、生命保険の非課税枠が利用できる

生命保険金には非課税枠があります。
ご自身が亡くなったあとご家族が生命保険金を受け取った場合、相続税の計算時に法定相続人1人当たり500万円までが非課税となります。

2、生命保険は受取人が指定可能

受取人が指定された生命保険金は相続財産に含めません。
遺産分割協議の対象外とされますので、ほかの相続人の了承を得ずに単独で手続きをすることができます。

受取人を指定しておくことでご自身の希望する方に財産を引き継ぐことができますので、遺産分割のトラブルを防ぐことができます。生命保険は遺言の代わりにもなるといえます。

3、相続税の納税資金として確保できる

相続税の納付方法は、原則では現金一括納付です。

相続した財産が不動産ばかりだと、納税資金が用意できずに相続した不動産を売却せざるをえないケースもあります。
生命保険をかけていれば、亡くなられた際に生命保険金がもらえるため、納税資金として活用することができます。

 

4、生命保険は相続放棄をしても受け取れる

亡くなられた方に多額の借金がある、などの理由で相続人が相続放棄をする場合もあることでしょう。
相続放棄をすると、初めから相続人でなかったとみなされますので、マイナスの財産だけではなく、プラスの財産を含む相続財産のすべて引き継ぐことができません。
しかし、生命保険金は受取人固有の財産となるため、相続放棄をしても受け取ることができます。

 

5、生命保険料を生前贈与することで節税

生命保険の受取金額が非課税枠を超える場合には、生前贈与の活用も考えられます。
たとえば、ご自身を被保険者、息子さんを保険の契約者かつ受取人とする保険に加入します。贈与税の年間110万円までの非課税枠内で息子さんに贈与したお金を、息子さんが保険料として支払います。

生命保険金の保険契約者と受取人が同一の場合、ご自身(被保険者)が亡くなられた時点で受取人である息子さんに支払われる保険金には、相続税ではなく所得税が課税されます。

Q.遺留分とは?誰が遺留分を請求できますか

 

 

A、

遺留分とは、被相続人の配偶者や子など、兄弟姉妹以外の法定相続人が相続できる最低限度の相続分です。

相続人となる人や各相続人の相続分については民法に定められていますが、これは遺言によって変更することができますし、生前贈与や死因贈与によって相続財産が減ったり、無くなってしまうこともあります。

そのようなことにならないように、民法では、一定の範囲の相続人に対して、法定相続分の一定割合を遺留分として請求できるようにしているのです。

遺留分を主張できるのは、自己の最低限の取り分を侵害されていたときです。

自己の最低限の取り分が侵害されるという事態は、被相続人による次の行為によって起こります。

生前贈与:生前贈与とは、生きているうちに自分の財産を贈与することです。「贈与」とは、贈与契約のことで、贈与者と受贈者の合意によって成立します。

死因贈与死因贈与とは、贈与者の死亡によって、効果が生じる贈与契約のことです。贈与契約は生前に行われていますが、実際に贈与を受けることができるのは、贈与者の死亡時です。

遺贈:遺贈とは、遺言によって、無償で自分の財産を他人に与える処分行為のことです。遺贈を受ける人のことを「受遺者」といいます。

遺留分を請求できるのは、被相続人との関係において、次の4つのいずれかに該当する人です。

配偶者:配偶者とは、妻や夫のことです。婚姻届を提出していない内縁関係の場合は、配偶者とはみなされません。

:子供のことです。養子も実子と同様に遺留分をもちます。

実親と、養子に出された実子の関係については、養子縁組の種類によって取り扱いが異なります。

普通養子縁組の場合は養子は、養親のみならず、実親の相続についても遺留分をもちますが、特別養子縁組の場合の養子は、養親の相続に関して遺留分はありますが、実親の相続に関しては遺留分をもちません。

子の代襲相続代襲相続とは、祖父母よりも先に親が亡くなったような場合に、祖父母の遺産を孫が相続できるようにするための制度で、「だいしゅうそうぞく」と読みます。

例えば子の代襲相続人は、被相続人との関係でいうと孫に当たります。

直系尊属直系尊属とは、親や祖父母など、直系の中でも祖父母や父母など、本人を基準にして前の世代の血族のことです。

直系尊属遺留分が認められるのは、子や子の代襲相続人がいない場合に限ります(配偶者については、いてもいなくても問題ありません。)。

このうち、配偶者、子、子の代襲相続人については、原則として遺留分が認められますが、直系尊属遺留分が認められるのは、子や子の代襲相続人がいない場合です。

Q.養子縁組が相続税対策になると聞きますが、なぜですか?

A、

養子縁組が相続税対策になる理由は以下の通りです。

1.相続税基礎控除額が上がる

1つ目の理由は、相続税を計算する際の基礎控除額が上がることです。

養子縁組を行って法定相続人を増やすことによって、相続税基礎控除額が増えます。基礎控除額というのは、その金額までは税金がかからないという枠のことです。相続税基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」で計算できます。つまり、法定相続人が1人増えれば、600万円の基礎控除額が増えるということです。

たとえば法定相続人が1人だけなら「3,000万円+600万円×1人=3,600万円」で、法定相続人が2人いるなら「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」となります。4,000万円を相続するとき、法定相続人が1人なら課税対象額は「4,000万円−3,600万円=400万円」です。一方で法定相続人が2人なら、基礎控除額の4,200万円のなかに4,000万円が収まるので、課税対象額は発生しません。

2.生命保険金の非課税枠が増える

2つ目の理由は、相続が発生したときの生命保険金の非課税枠が増えることです。

生命保険金にも、上記1の計算のときと同様に非課税枠があります。生命保険金の非課税枠は、「500万円×法定相続人の人数」で計算可能です。

たとえば法定相続人が1人だけなら「500万円×1人=500万円」で、法定相続人が2人いるなら「500万円×2人=1,000万円」となります。このように、法定相続人が増えることによって生命保険金についても節税になるのです。

3.死亡退職金の非課税枠が増える

3つ目の理由は、死亡退職金の非課税枠が増えることです。

死亡退職金も、生命保険金と同様の考え方で節税になります。死亡退職金についても「500万円×法定相続人の人数」の非課税枠が存在しています。したがって、法定相続人が増えれば節税効果があるのです。

4.相続人に適用される税率が下がる

4つ目の理由は、それぞれの相続人たちに適用される相続税の税率が下がることです。

相続税額を計算する際には、遺産の金額から基礎控除額を差し引いた金額を法定相続分で分け、税率を掛けます。つまり、それぞれの相続人が実際に手に入れた相続財産に税率を掛けるわけではありません。したがって、法定相続人が多くなればなるほど、基礎控除額が増えるとともに、1人あたりの法定相続分が減少するために、計算の際に用いる税率が下がりやすくなります。それによって全体の相続税額も安くなるというわけです。

Q.養子縁組で相続税対策を行う際の注意点は?

 

 

A、

1.遺産分割協議で揉める可能性がある

1つ目の注意点は、遺産分割協議で揉める可能性があるというものです。

法定相続人が増えることによって、話し合いに参加する人数が増えて揉めやすくなります。

関わる人数が増えれば増えるほど人間関係は複雑になるので、注意しておかなければなりません。

また、たとえば孫を養子にした場合に、「なんで自分は孫養子にしてもらえなかったんだ、不公平だ」と他の孫や孫の親が不満を抱くこともあります。そうなると、遺産分割協議もスムーズに進まなくなるでしょう。最悪の場合は、養子がそもそも無効であると訴えを起こされてしまうケースもあります。

2.相続税額が2割加算されることがある

2つ目の注意点は、せっかく養子縁組しても場合によっては相続税額が2割加算されることがあるというものです。

たとえば、以下のような人は2割加算になるので注意してください。

​​

なぜそのような制度があるのか、孫を養子にした場合で考えてみましょう。通常のケースなら親から子、子から孫という2段階で財産を孫に渡すことになりますが、孫を養子にすれば1段階だけで財産を渡せます。そうなると、相続税を納める回数も1回だけになります。しかし、平成15年度の税制改正によって、そういった場合には相続税額が2割加算となることに決まりました。

3.相続税対策のための養子縁組は否認されることもある

3つ目の注意点は、相続税対策のためだけの養子縁組だと判断されて否認されるケースがあるというものです。

相続税を不当に減少させる目的で養子縁組を行ったと税務署に判断されると、養子縁組による法定相続人の増加が認められなくなります。

どのようなケースが不当だと判断されるのか、明確な基準はありません。しかし、被相続人が亡くなる直前に養子縁組を行った場合には、否認されやすいです。他にも「養子縁組をしたのにもかかわらず、養子に遺産が渡らない」というような基礎控除額や非課税枠を増やすためだけの養子縁組も否認されるおそれがあります。

養子縁組が否認されると節税に失敗するのはもちろんのこと、相続税の申告をやり直したり、追徴課税を納めたりといった事態にもなりかねません。

養子縁組による節税については、専門家の意見を聞きながら検討することをお勧めいたします。

4.法定相続人が増える人数には制限がある

4つ目の注意点は、相続税法上では法定相続人が増える人数には制限があることです。

人数制限については、2つのパターンに分けて考えます。まず、実子がいる場合には1人の養子の分までが法定相続人として認められます。そして実子がいない場合には、2人の養子の分までが法定相続人として認められるのです。

 

小規模宅地等の特例についてよく頂戴する質問

小規模宅地等の特例は極めて複雑であり、専門家でも間違えることがあるので、資産税専門の税理士に申告依頼することをお勧めします。

 

 

Q.老人ホームに入居していた場合の小規模宅地等の特例適用は?

A、

亡くなる前に老人ホームに入居して場合であっても、以下の要件を満たせば小規模宅地等の特例を受けることができます。

1、要介護認定を受けていること

故人が要介護認定、もしくは要支援認定を受けている必要があります。認定を受けていない状態で老人ホームに入居していた場合は、小規模宅地等の特例を受けることができません。

2、自宅を賃貸に出していないこと

老人ホームに入居し、自宅を賃貸に出している場合は小規模宅地等の特例を適用することができません。ただし、生計を共にしている親族が自宅に引っ越してきて、家賃を取っていない場合は小規模宅地等の特例することが可能です。

なお、生計が別の親族が引っ越してきたり、土地を事業用に使い始めたりした場合は、小規模宅地等の特例を適用することができません。

3、届出がされている老人ホームであること

都道府県知事への届出がされていない老人ホームに入居していた場合は小規模宅地等の特例を適用することができません。各都道府県のホームページに届出がされている老人ホームの一覧が掲載されておりますので、入居する前に確認することをお勧めします。

Q.相続時精算課税制度で贈与した土地に関する小規模宅地等の特例適用は?

A、

相続時精算課税制度を利用して贈与した土地に対して小規模宅地等の特例を適用することはできません。

小規模宅地等の特例を適用するには、土地を相続や遺贈により取得している必要があります。

相続時精算課税制度を利用して土地を贈与した場合、相続や遺贈で取得したのではなく、贈与によって土地を取得したことになりますので、小規模宅地等の特例の対象外となります。

Q.二世帯住宅に小規模宅地等の特例を適用する要件は?

A、

二世帯住宅においてまずは、区分所有登記されているかどうかが重要となります。

「区分所有」とは、マンションなどを想像してもらうとわかりやすいですが、同一の建物でも各部屋が別々の登記である建物をいいます。

要件として、被相続人と親族が居住する二世帯住宅の宅地について一定の要件を満たす場合(二世帯住宅が構造上区分された住居であっても、区分所有建物登記がされているものは除く。)とあります。

つまり、区分所有登記されている建物は原則適用できません。二世帯住宅を建設して区分登記されてしまいますと、相続が発生した時にご自宅の敷地の評価減ができないことになりますので注意が必要です。

以下、基本的な例を参考に見ていきましょう。


区分所有登記でない建物(非分離型)
区分登記でない建物  家屋所有者:父
建物内部で行き来が可能で、区分登記されていない建物です。
1階、2階ともに生活が分離しており、内部の階段で行き来ができます。このような状態は小規模宅地等の特例の適用が可能です。

 

区分所有登記でない建物(完全分離型)
区分登記でない建物  家屋所有者:父

玄関が別で建物の内部で行き来はできませんが、区分登記されていない建物です。
完全分離型でプライベートな空間を確保した建物になります。外階段でそれぞれを行き来できます。このような状態は小規模宅地等の特例の適用が可能です。

 

区分所有登記建物(完全分離型)
区分登記建物  2階部分所有者:長男
        1階部分所有者:父

玄関が別で建物の内部で行き来はできず、区分登記されている建物です。
建物の登記が区分登記されているか否かで適用の可否を判断します。

そのため、このケースでは区分所有登記建物に該当しますので、小規模宅地等の特例の適用はできません。また、長男居住部分を父が区分所有していたとしても判断に影響はありません。
 
上記以外にも複雑なケースの場合等ありますので、必ず税理士等の専門家に相談願います。
 

Q.「家なき子特例」とは? その要件は?

A、

家なき子特例」とは、亡くなった方に、配偶者も同居している相続人もいない場合には、3年以上、自分の持ち家に住んでいない親族が相続したら、80%減額可能であるというものです。

この特例を受けるための要件は以下の通りです。

1、配偶者及び同居親族がいないこと

亡くなった人が独身だった、もしくは配偶者が既に亡くなっていて、生前は一人暮らしだったことを意味します。

配偶者や同居している親族がいれば、その人達が優先して相続するのが一般的と考えるためです。

2、相続開始前3年以内に、自己または自己の配偶者の持ち家に住んでいないこと

要するに、自宅を相続しようとしている人は、賃貸アパートや賃貸マンション、社宅や寮で暮らしていた状態をいいます。つまり、既に持ち家を持っている人は、実家に戻る意思がないと判断されてしまうわけです。

3、相続した自宅の土地を申告期限まで所有していること

本来は、自宅を相続し、その家を引き継いで生活をしていく人のために作られた特例です。

そのため、少なくとも、申告期限までは所有することが要件となっています。

4、相続開始前3年以内に、三親等内の親族または相続する人と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋に居住したことがないこと

もともとの要件では、

・亡くなった人が所有している物件に居住している

・同族会社に不動産を購入させて居住している

場合であっても、家なき子特例を受けることが可能でした。

しかし、三親等内の親族または関係のある法人が所有している物件は持ち家と同等であるとの解釈から、この要件が追加されました。

5、相続開始時に住んでいる家屋を過去に所有したことがないこと

子供の持ち家を同族法人や親に売却することによって、名義を第三者に変え、意図的に持ち家がないという状態にすることが横行していましたため、要件が追加されました。

Q.マンションに小規模宅地の特例は適用できる? 

A、

マンションの一室を貸していたり自宅として使用していたりしていてもこの特例は適用できます。

マンションの土地の権利には「所有権」、「敷地権」、「借地権」といくつか種類がありますが、いずれも相続税の対象になる財産ですので評価を行う必要があります。

 

通常の土地の評価に持分等を乗じるのですが、土地には2つの評価方法があります。

都市部などの市街地であれば、「路線価方式」となり、
地積×路線価×各種補正率

郊外の土地であれば、「倍率方式」となっている地域もあり、
固定資産税評価額×倍率

と計算します。

路線価や倍率は国税庁のHPに記載があり、地域によって異なります。

固定資産税評価額が毎年4月頃に市区町村から送られてくる固定資産税納税通知書に記載されています。

 

また、マンションの所有権や敷地権は登記簿謄本に「敷地権の割合」が記載されているので、土地全体の評価額に「敷地権の割合」を乗じて評価を行います。近年では土地の登記簿謄本ではなく建物の登記簿謄本の「表題部(敷地権の表示)」に所有権、敷地権が記載されていることも多くなっています。

借地権の場合その割合は、国税庁のHPより路線価図や評価倍率表に記載があります。地域ごとにだいたい30~90%と定められており、こちらも土地の評価額に乗じて評価を行います。

そしていずれも小規模宅地の特例を適用することができます。

特例の割合や限度面積は戸建の場合と同様、居住用や貸付以外の事業用であれば80%、貸付事業用であれば50%減額することが可能です。

 

通常であればマンションの一室を自宅としてお持ちの場合、限度面積の330㎡を超えることはありませんので、敷地権全体に小規模宅地の特例を適用できます。

事業用の宅地等をお持ちであればさらに小規模宅地の特例を利用して減額することが可能です。

 

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遺産分割を安易にやり直すのは危険です

 

 

贈与税所得税が課税

税法では最初の遺産分割協議で遺産分割が行われると相続人はその取得した財産について所有権を有することとなりますので、その後に行われた遺産分割のやり直しは各相続人間における財産の贈与又は譲渡と捉えられて贈与税所得税が課税されることとなります。

 

不動産取得税・登録免許税も課税

遺産分割のやり直しの結果、不動産を新たに取得し、不動産の名義変更を行うと、不動産取得税が課税されます。また、名義変更登記にかかる登録免許税も発生します。

 

遺産分割のやり直しは民法上可能です。

しかし、新たに贈与税又は所得税、不動産所得税、登録免許税等を負担しなければなりません。

遺産分割は一回で終わらせるよう共同相続人全員で協力し、もめそうな場合は専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

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