
はじめに
今回は、東京地裁が下した、小規模宅地等の特例の適用宅地について事実誤認があった場合の更正請求に関する判決について解説します。
1. 小規模宅地等の特例とは?
小規模宅地等の特例は、被相続人が住んでいた家や事業用地を相続人が引き継ぐ場合に、相続税が軽減される制度です。
2. 事案の概要
- 納税者Aは、自宅、納屋、倉庫を含む宅地を相続しました。
- Aは、納屋部分を特定事業用宅地等として75㎡、自宅部分を特定居住用宅地等として330㎡と申告しました。
- その後、Aは倉庫部分を特定事業用宅地等として418.46㎡に変更したいと更正請求しましたが、認められませんでした。
3. 争点
- 更正請求は認められるか?
- 小規模宅地等の特例における「選択替え」は可能か?
4. 東京地裁判決
東京地裁は、Aの更正請求を認めませんでした。
その理由は以下のとおりです。
- 小規模宅地等の特例は、申告時に選択した宅地についてのみ適用される。
- Aは、当初の申告において倉庫部分を特定事業用宅地等として選択していないため、更正請求で選択することはできない。
- 更正請求は、申告内容の誤りを訂正するためのものであり、特例の適用範囲を拡大するためのものではない。
5. 判決のポイント
- 小規模宅地等の特例における宅地の選択は、慎重に行う必要がある。
- 後から選択を変更することは原則としてできない。
6. 今後の注意点
小規模宅地等の特例を適用する場合には、以下の点に注意する必要があります。
- 適用する宅地を正確に選択する。
- 申告書に誤りがないか確認する。
- 不明な点があれば、税務署に相談する。
7. まとめ
今回の判決は、小規模宅地等の特例における「選択替え」について、厳しい判断が下されたと言えるでしょう。
特例を適用する際には、十分な注意が必要です。