- 貸金庫を開ける3つの方法
- 相続人と連絡が取れず同意を得られない時の対処法
- 貸金庫を開ける時の手順
- 貸金庫の相続でよくあるトラブル
- 貸金庫の中に入っていることが多いものとその相続方法
- 貸金庫に遺言書を保管するのは避けましょう!
故人が所有していた財産や債務は全て相続の対象となり、相続人に受け継がれます。
その中には貸金庫も含まれます。貸金庫の契約上の地位や金庫の内容物も相続の対象です。また、故人が亡くなって支払いが滞った分の貸金庫使用料も相続人が引き受けることになります。
貸金庫を開ける3つの方法
相続が発生したとき、貸金庫を開ける方法は次の3つです:
相続人全員の同意を得たうえで開ける
相続人全員に立ち会ってもらったうえで開ける
遺言の内容に基づいて指定された者が開ける
1. 相続人全員の同意を得たうえで開ける
相続財産の対象となった貸金庫は、原則として相続人全員の同意のもとで開ける必要があります。
全員が同日に集まれない場合は、事前に同意書を集めることで代表者が貸金庫を開けることも可能です。
ただし、立ち会いが代表者だけの場合は貸金庫の中身を確認するだけにとどまり、中身を持ち帰ることはできない可能性があります。
2. 相続人全員に立ち会ってもらったうえで開ける
原則として、相続した貸金庫を開ける場合は相続人全員の立ち会いが必要です。
故人が生前に代理人を決めている場合でも、死亡後はその代理人の権限はなくなります。
例外が認められるのは、故人が遺言書で貸金庫開扉に関する取り決めをしている場合です。遺
言書に特に貸金庫開扉について記載がない場合は、相続人全員が立ち会ったうえで開けるようにしましょう。
3. 遺言の内容に基づいて指定された者が開ける
故人が遺言書で遺言執行者を指定し、当該遺言執行者に貸金庫の開扉、内容の取り出しを行う権限を与えていれば、遺言執行者が一人で貸金庫を開けることができます。
相続人と連絡が取れず同意を得られない時の対処法
相続人の中には連絡が取れない人や居場所が分からない人がいる場合があります。そのような場合の対処法としては、以下の方法があります:
相続人の住所が分からなければ戸籍の附票で追う
相続人に行方不明者がいるなら不在者財産管理人を選定する
1. 相続人の住所が分からなければ戸籍の附票で追う
行方不明の相続人の戸籍謄本を取り寄せ、現在の本籍地を確認し、本籍地の市区町村で戸籍の附票を取り寄せることで住所を確認できます。
その情報を元に連絡を取り、貸金庫の開扉について相談しましょう。
2. 相続人に行方不明者がいるなら不在者財産管理人を選定
附票に記載の住所を調べても相続人が住んでいない場合には「不在者財産管理人の選任」を申し立てます。
不在者財産管理人が選定されれば、行方不明の相続人の代わりに遺産分割協議に参加したり、貸金庫の開扉に立ち会ったりしてもらうことが可能です。
貸金庫を開ける時の手順
貸金庫を開扉するためには、以下の手順を踏む必要があります:
金融機関に連絡して訪問の予約を取る
必要書類を準備する
相続人立ち会いの下で貸金庫を開ける
解約手続を行う
1. 金融機関に連絡して訪問の予約を取る
貸金庫を開ける際には、金融機関に開扉の日時を連絡して予約を取ってから訪問しましょう。
突然訪問すると受け付けてもらえない可能性があります。
2. 必要書類を準備する
貸金庫の開扉にはいくつかの書類が必要です。
必要書類については予約の際に金融機関側から説明してもらえます。不備がないように準備しましょう。
3. 相続人立ち会いの下で貸金庫を開ける
提出書類に不備がないことを確認後、当該金融機関の行員と相続人の立ち会いの下で貸金庫の開扉が行われます。
4. 解約手続を行う
貸金庫を開扉し、内容物を確認したら、貸金庫使用契約の解約手続を行い、中身を持ち帰ります。
未払い分の貸金庫使用料の清算も必要です。
貸金庫の相続でよくあるトラブル
貸金庫の相続では以下のようなトラブルが発生することがあります:
多額の現金が見つかった
貸金庫の鍵が見つからない
1. 多額の現金が見つかった
故人が貸金庫を使用していたことを相続人が知らなかったケースで、多額の現金が発見されることがあります。
相続税申告の必要性や税務調査への対応が求められます。
2. 貸金庫の鍵が見つからない
鍵やカードが見つからない場合、金融機関に再作成と再発行を依頼しましょう。費用と時間がかかるため、事前に確認しておくことが大切です。
貸金庫の中に入っていることが多いものとその相続方法
貸金庫の中には以下のものが入っていることが多いです:
預金通帳
不動産関係書類
保険証書
貴金属
思い出の品
それぞれに適した相続方法を押さえておくと、相続手続がスムーズに運びます。
貸金庫に遺言書を保管するのは避けましょう!
遺言書を貸金庫に保管すると、相続人が遺言書の存在に気付くのが遅れる可能性があります。そのため、遺言書は貸金庫以外の安全な場所に保管することをおすすめします。