
不動産の売却や賃貸収入は金額が大きく、税務上の扱いも多岐にわたります。
譲渡所得の判定、取得費・譲渡費用の把握、青色申告の適用、減価償却の計算など、年明けから短期間で整えるには負荷が高いため、年内に税理士へ依頼することが有利です。
今回は、計算の基本、年内依頼のメリット、実務の流れを簡潔に解説します。
譲渡所得の基本
譲渡所得は次の式で計算されます。
譲渡所得 = 譲渡価格 − 取得費 − 譲渡費用
用語のポイント
- 譲渡価格:売買契約書記載の売却代金。固定資産税精算金は原則譲渡価格に含めます。
- 取得費:購入代金+取得関連費用(仲介手数料、登記費用、不動産取得税など)。建物は減価償却後の残存価額で計算。証憑不足時は概算取得費(譲渡価格の5%)も検討。
- 譲渡費用:売却仲介手数料、測量費、境界確定費、解体費、契約書印紙、広告費など。
ポイント:年内に税理士へ依頼することで、証憑の欠落や過少計上を防ぎ、課税所得を正確に算定できます。
所有期間と税率
- 所有期間区分:1月1日時点で5年超は「長期」、5年以下は「短期」。
- 税率差:短期譲渡は高税率、長期譲渡は低税率。
- 年内依頼の利点:税理士が所有期間や特例(居住用3,000万円控除など)適用の可否を評価でき、場合によっては売却タイミング調整で節税可能です。

不動産所得(賃貸)の基本
収入と必要経費
年内確認のメリット:修繕費や保険料の前払、ローン利息の計上、減価償却の確認を年内に済ませると節税余地を最大化できます。
年内依頼のメリット
1、資料収集の余裕:過去契約書や領収書の再発行、売却費用の確認
2、節税の意思決定:修繕費支払時期の調整、特例適用要件の事前確認
3、税理士の確保:繁忙期前に税理士対応、品質向上
4、リスク低減:申告漏れ・過年度控除の反映、整合性確認による調査リスク低減
年内にすべきこと
1、事前チェック:売却・賃貸案件の概要確認
2、資料チェック:取得費・譲渡費用・賃貸経費の証憑収集
3、税務方針決定:所有期間、特例適用、青色申告選択、減価償却基礎の確認
4、年内実行:支払日調整、証憑取得・保管
注意点と落とし穴
- 固定資産税精算金:売主・買主間で精算される場合、譲渡価格に含める
- 取得費の過少計上:登記費用や取得税の未計上に注意
- 解体費:更地化して売却する場合、譲渡費用に含められるが時期・目的を明確に
- 青色申告:帳簿・書類不備で控除否認を防ぐため、年初の運用設計が重要
年末チェックリスト
- 売買契約書・決済明細で譲渡価格確認
- 購入代金・仲介手数料・登記費用・取得税領収書確認
- 建物減価償却:取得価額、耐用年数、償却累計額
- 譲渡費用:仲介手数料・測量・印紙・解体費の原本確保
- 賃貸経費:修繕費、前払保険料、ローン利息、固定資産税計上漏れ
- 特例適用の要件資料準備(居住用特例等)
まとめ
不動産売却や賃貸収入の申告は、譲渡所得の計算精度、特例適用、経費計上のタイミング調整など総合的な設計が求められます。
年内に税理士に依頼することで、資料収集や節税意思決定の余裕を確保し、繁忙期を避けて落ち着いた申告が可能です。今年中の着手が翌年の申告を無理なく、高精度に完了させるポイントとなります。

ポイントまとめ
- 年内依頼で申告精度・節税余地を最大化
- 譲渡所得は「譲渡価格−取得費−譲渡費用」で計算
- 所有期間・特例の確認は年内に
- 賃貸経費や減価償却の確認も年内に
- 年内チェックで漏れを防ぐ